久しぶりに、ひすいこたろうさん、ひたかみひろさん共著の
『しあわせの「スイッチ」』から紹介します。
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オーストリアのアルプスのふもとにある田舎町での出来事です。
今夜はクリスマスイブ。
この日は村のみんなが教会にやってきて、盛大にミサが行われます。
「今夜は年に一度の大切な日。村のみんなも
楽しみにしているだろうなあ」と牧師さん。
そこに突然、パイプオルガンの準備していた友人が血相を変えて駆けてきました。
「すみません。オルガンが壊れてしまいました!」
「え、ウソだろう?もうすぐみんながやってくるぞ。」
「全然音が鳴らないのです。」
「どうしよう、あるのは私のギターだけ。ギターで聖夜とは・・・。
みんなこの日を楽しみにしているのに。よしっ、こうなったら・・・。」

しかし、この夜のミサは大盛況。
牧師さんが急きょ作詞し、友人が即興で曲を作って、
ギターで伴奏しながらみんなで楽しく歌ったのです。

この日生まれた歌のタイトルは・・・・

「きよしこの夜」

そうです。
その後、毎年クリスマスには世界中で歌われることになる、あの有名な聖歌です。
ヨーロッパの人は、とりわけクリスマスイブへの思い入れが強い。
一年で一番大切な、そして楽しみにしている夜。
そんな村人たちをがっかりさせたくない。
その一心でつくられた曲。
それが人の心を動かしたのです。

おそらく、村人たちはみんな雪がしんしんと降る教会からの夜道を、
誕生したばかりの聖歌を口ずさみながら暖かい家へと帰ったことでしょう。

実はこのハプニング、神様のいたずらじゃないか。
オルガンを壊したのは神様じゃないか・・・・。
「ヤバい。どうしよう!?」と追い込まれたときこそ、
人は火事場の馬鹿力を発揮しますから。
そして、自分のためではなく、「みんなの笑顔のために・・・・」。
そんな思いを抱いたときこそ、歴史に残る作品が生まれるのです。

ハプニングは新しい何かが生まれるタイミング。
そんなときこそ、「みんなの笑顔のために・・・・」。
その思いです。

ハプニングから、ハピネス(幸せ)は生まれます。
ハピネスと、ハプニング、語源は一緒だそうです。