職員室で、ある先生から感動的な話があるということで教えて頂きました。
私も感動したので紹介させてください。『子どもがやる気になる
短い言葉がけスクールペップトーク』岩崎由純著の一部です。

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「屠龍技(とりゅうのぎ)」

東京消防庁ハイパーレスキュー隊第6方面本部の壁には、このような額縁が掲げてあります。
これは「とりょうのぎ」もしくは「とりゅうのぎ」と読みます。
昔、中国の山奥に悪い龍が住み着き、時折現れては村人に害をなした。
龍を天災にたとえています。地震、津波、土砂災害、噴火や台風など。
1人の青年が、誰かがこの龍を退治しなければならないと考えて、
その龍を屠(ほふ)る技を身につけるべく一生をかけて体を鍛え、
技を磨き、万が一に備えた。
それを「屠龍技(とりゅうのぎ)」という。
しかし、龍は二度と姿を現さなかった。でも、その青年は一生、体を鍛え技を磨き続けたということで、
辞書には「現れない龍のために努力をすること。すなわち無駄な努力。」と書いてあります。

ハイパーレスキュー隊は、この後に3行書き加えています。

「われわれは龍の出現の有無に関わらず屠龍技を磨く。
実際には天災は起きないほうがいい。
だから無駄になったほうがいい。
ただし、万が一、現れたら一撃の元にこれを屠(ほふ)る。
それが我々の目指すところである。」

 福島第一原発に津波が押し寄せ、放射能が漏れ、水素爆発が起きたとき、
自衛隊がヘリコプターで飛んで消火活動をしているのですが、十分な水がかけられない。
当時の政府は陸路から誰か行けないのかと求めます。
そこで、「我々なら放射能対策もできています。」と名乗りを挙げて、
東京消防庁ハイパーレスキュー隊の3つの部隊が現地にかけつけ、消火活動を成功させます。
戻って来ての記者会見がすべてのチャンネルで生放送されました。
「あの現場に行くと言ったら、家族のみなさんは何とおっしゃいましたか」
と記者からちょっと意地悪な質問が出たときに答えたのが、
佐藤康雄警防本部(当時)です。佐藤さんは管理職にありました。
この3月いっぱいで定年退職。
だから防火服も着ていません。
しかし、千年に一度の大災害が起きている。
現地に行って指揮をとってくると奥様に1行のメールを残して現場に向かうと、
奥様からも1行のメールが帰ってきます。
「日本の救世主になってください。」
ただそれだけでした。
なんであなたが行かなきゃ行けないの、とおっしゃっていない。
水素爆発が起こっているところに近づいて大丈夫なの、
放射能が漏れるところに行って平気なの、
というようなネガティブなことを一切おっしゃっていない。
ただ、消防官に嫁いだその日から覚悟を決めていました。
本当に大変なことが起きたら家族のことは私に任せて、
あなたは消防官としてやるべきことをやってください
という思いを込めて書いた1行だったのです。
泣きながら書いた1行だったのです。
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日本はまだまだ捨てたもんじゃない!!

日本はこのような人たちに支えられているんですね。
警察官や自衛隊員、消防隊員などたくさんの人たちに感謝・感謝です。