『はじめて読む人のための人間学』から紹介します。

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第1話「旅人の話」
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ある町がありました。

一人の旅人がその町にやってきました。

町の入り口の門のところに一人の老人が座っていました。

旅人は聞きます。
「おじいさん、この町はどんな町?」

おじいさんは聞きます。
「あなたが今までいた町はどんな町でしたか?」

旅人は答えました。
「いやあ、前にいた町は嫌な人ばかりで
ろくな町じゃなかったよ」

「そうですか、
この町もあなたが前にいた町と同じ町です」

また別の日に旅人が来る。

「おじいさん、この町はいったいどんな町ですか?」

おじいさんは聞く。
「あなたがこの前にいた町はどんな町でしたか?」

「私が今までいた町は、すばらしい町で、
人々は親切で、あんなによい町はありませんでした」

「そうですか、この町もあなたが前にいた町と同じ町です」
と答える。

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これは逸話です。

言い方はいろいろあるようですが、
昔からある有名な話です。

二人の旅人が来た町は同じなんです。

結局この逸話の言いたいことは何か。

環境というものは
「その人の心が決める」ということです。

我々が何のために学ぶのかというのは、
環境をよりよく作るために学んでいるわけですね。

結局環境を作るのはその人なんですね。

その人の心が環境を決める。

環境に左右されるのではなく、
環境を作れる人間になりたいものです。