志賀内泰弘さんのギブ&ギブメルマガから紹介します。
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『息子が教えたこと』親孝行大賞

息子が、小学二年生の時のことだ。
国語のテストの点の悪さに驚き、一緒に見直しをした。
何度も問いかける私の言葉に、嫌気がさした息子は、でたらめな答えを言い出した。

「真剣さが足りない」と私は腹を立てて息子を怒鳴った。
その剣幕に驚いた彼は、「お母さん、僕が本気でやらなかったから、怒られるのは仕方がない。
でもお願いだから、ばかにしないで」と泣きながら訴えたのである。

はっとした。
私は、自分の気持ちがおさまらないから怒っていた。

息子を良くするためではなかった。
感情だけで叱っていた事を、息子の言葉で気付かされた。
情けなかった。
涙ながらに言った息子の言葉に雷に打たれたような気持ちになった。

それ以後、小学校教師として
「子どもを叱るときは、決して見下してはいけない。どんなに幼い子どもでも、
教師が愛情を持って叱っているのか、感情だけで叱っているのかを見抜く」と自分に言い聞かせていた。

叱る時、いつも自問していた。
「私は今この子を見下してはいないだろうか」と。

子どもは、鋭い感覚で蔑まされたことに気付く。
いつも冷静に指導ができたわけではない。
感情で叱ったり、泣きながら叱ったりしたこともある。
そのたびに「お母さん、お願いだから僕をばかにしないで」と言った息子の顔を思い浮かべていた。

わが子を叱ってしまったあの日の事は、今でも苦い思い出として心に残っている。

しかしこの事がなければ、私は、同じ過ちをおかしていたに違いない。
息子は、私に大切な事を教えてくれた。

ほろ苦い思い出は、私の戒めとなった。

8才の息子の最高に親孝行の言葉だ。
今は社会人となり遠くにいるのでなかなか会えないが、母の日には、必ずお花を贈ってくれる。
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この気持ちを保護者も教員も忘れてはいけません。